美と健康のコラム Vol.26
乾布摩擦の3つの効果と正しいやり方
〜昔ながらの健康法を現代の視点で見直す〜
冬場になると「乾布摩擦をすると風邪をひかない」と聞いたことがある方も多いと思います。
実はこの乾布摩擦、昔ながらの健康法ではありますが、現代の研究でもいくつかの有効性が報告されています。
今回は整骨院の視点から、乾布摩擦の3つの効果と正しい方法、そしてそのエビデンス(科学的根拠)を解説します。
【乾布摩擦の3つの効果】
① 自律神経のバランスを整える
皮膚への刺激が交感神経と副交感神経の働きを促し、血流や体温の調整機能を高めます。
朝に行うと交感神経が優位になり、体が目覚めやすくなるといわれています。
エビデンス
山口大学医学部の研究(2005)では、乾布摩擦を行った被験者は皮膚温が上昇し、交感神経活動が一時的に活発化することが確認されています。
② 免疫機能の向上
皮膚刺激により血流やリンパの流れが促進され、白血球の働きが活性化すると考えられています。
また、体温が上がることで免疫細胞の活動も高まる傾向があります。
エビデンス
国立健康・栄養研究所による報告では、軽い皮膚刺激運動(乾布摩擦を含む)を日常的に行うと、末梢血流量の増加と免疫指標(NK細胞活性)の上昇が見られたとされています。
③ 血行促進と肩こり・冷え性の改善
乾布摩擦の摩擦刺激は、皮膚下の毛細血管を広げ、筋肉の血流を改善します。
特に肩や背中、手足の末端に行うと、冷えやこりの軽減につながります。
エビデンス
日本生理学会誌(2012)の報告では、皮膚摩擦による局所温度上昇と末梢循環の改善効果が確認されています。
【正しい乾布摩擦のやり方】
乾いた柔らかいタオルを使用
ガーゼや木綿タオルを使用し、肌を傷つけないよう優しくこすります。
心臓から遠い部位→心臓方向へ
手足の末端から中心に向かってこすることで、血流がスムーズになります。
お肌がデリケートな方は手でさすってもOK!
腕、足、首など一つの部位を15回往復さすります。
お腹は、時計回りにさすりましょう。
1日3~5分、入浴前や朝に行う
冷えた体を温める目的なら朝、リラックス目的なら夜が効果的です。
痛みを感じない強さで
皮膚が軽く赤くなる程度が目安。さすりすぎると逆効果です。
【まとめ】
乾布摩擦は「昔の健康法」と思われがちですが、実際には自律神経・免疫・血流に良い影響を与えることが研究でも確認されています。
寒くなるこれからの季節、無理のない範囲で毎日の習慣に取り入れてみてはいかがでしょうか。
※参考文献
· 山口大学医学部 生理学講座(2005)「皮膚刺激と自律神経反応の関係」
· 国立健康・栄養研究所「軽運動が免疫機能に与える影響」
· 日本生理学会誌(2012)「皮膚摩擦刺激による末梢循環の変化」
☆☆☆あとがき☆☆☆
施術の最初に軽擦法(けいさつほう)といって、施術する部位をさすります。
先日ある患者様が、
「さすられるだけで気持ちがいい!」
とおっしゃられました。
確かに自分でさするよりも他人にさすられる方が気持ちが良いものですね。
そこで!
さするだけの施術その名も
「ケイサツセラピー」
裏メニューとして検討中です(笑)
